Studioその1 of TARu Personal Studio

Studio関連 その1-計画~製作

 今回製作する防音室は、完全防音ではなく音のレベルを極力下げる事を目的とし、家の周囲に室内の音が聞こえにくくなるよう計画しました。 既存の建物が木造2階建てと言う事や、ほとんどの作業を自分一人で行う事などの条件から構造を簡単にするため、浮き床構造にせず既存の床と柱に直接設置する構造としました。
その為、躯体伝搬音(建物を伝わる振動音)は気にしない事としました。

 当初の計画では各壁面を1層構造とする予定でしたが、防音効果が薄く感じたので途中で2層構造に変更しました。(既設壁と接した面と、床は1層構造のままです。)

2008.08.22_IMG_2711.jpg元は6畳の和室です作業室プラン_01-03.jpg正面図(当初の予定)作業室プラン_01-01.jpg平面図(当初の予定)

外枠の製作(2008年11月20日)

 まずはじめに外枠となる柱と壁を既設の壁に沿って建込みます。基本は角材と石膏ボードです。
 この作業は一人では難しいので、家のリフォームをお願いしている大工さんにお願いしました。

2008.11.20_DSC08113.jpg事前に遮音シートを貼付けます2008.11.20_DSC08114.jpg職人さんが2人で起こしました2008.11.21_IMG_4015.jpgあっという間に外枠完成

天井~遮音シート貼り(2008年11月22日)

 天井の上にも遮音シートを貼り付け
 床・外枠にも全体に遮音シートを貼り付けます

2008.11.22_DSC08243.jpg天井の状況2008.11.25_DSC08314.jpg床面にも遮音シートを貼付けます2008.11.22_DSC08275.jpg1層目の外枠全体に遮音シートを貼付けました

ドアの取付け(2008年11月24日)

 ドアはホームセンターで売っているトイレ用ドアを2枚使い、内側と外側の両方に取り付けます。
 そのあとフローリングの施工を行います。ここまでが大工さんとの共同作業です。

2008.11.24_DSC08304.jpgそのまま2重に付けるとあいだが広過ぎるので、ノブが干渉しない広さになるようカットして調整します2008.11.24_DSC08306.jpgこの両側にドアが付きます2008.11.22_DSC08294.jpgドアの完成後フローリングの施工

ドアに遮音シート貼り(2008年11月26日)

 ドアの外側に遮音シートを貼付けますボンドはG17を接着面の両側に付けます
 遮音シートの外側に化粧ベニアを貼り付けます(シートの貼付けは外側のドアのみです)

2008.11.26_DSC08368.jpgドアに遮音シートを貼り、化粧べニアを貼ります2008.11.26_DSC08369.jpgズレ防止のため小さい釘を打っています2008.11.26_DSC08370.jpg上から化粧ベニア・遮音シート・ドア本体

遮音シートについて

 今回使用した遮音シートは
「防音専門ショップ(有)アコルト」で扱っている
「FK240」という厚さ2.4ミリのアスファルト製で
一巻きが幅940ミリ、長さ5メートルで重さが
約34キロあります。
これを全部で7本使用しました。
 このシートはライブハウスレベルで使用する位の
もので、ここではオーバースペックかも知れませんが
狭いスペースの為、壁厚をなるべく薄くする目的で
選びました。
(当初、空気層は1層の予定でした。)


  厚めの遮音シートを6面全てに貼り、その両側に
 グラスウールを入れた空気層を2層設けることで
 遮音性能を上げました。
 (既設壁と接する面と、床は1層です。)

  実際に施工した感想は、厚みが有る為、角の
 部分が曲げにくく、今回のように外枠の完成後に
 石膏ボードにねじ止めで貼るより、枠を組み立て
 る前にコンパネに直接タッカーで留める方が良い
 かもしれません。

  また遮音シートの重ねた部分が厚くなるので
 面を平らに仕上げるにはコツが要ると思います。

2008.11.13_IMG_3934.jpg一巻きで重さが約34キロ全部で7本使用しました。
DSC08281.jpg遮音シートを貼付けた状況です

グラスウール取付け(2008年12月3日)

 空気層を角材を使って作り、その空間にグラスウールを詰めます
 少しでも室内のスペースを確保するため、角材は45ミリでグラスウールは、ぎっしり詰まった状態です。

2008.11.25_DSC08340.jpg角材の間にグラスウールを詰めます2008.11.26_DSC08371.jpg床は空気層が1層です。石膏ボード、ゴムシート、コンパネ、最終はカーペット仕上げです2008.12.03_DSC08426.jpg側面は既設壁と接した面以外は遮音シートの内側、外側の両側に空気層を2層作ります。

天井の施工から外枠仕上げ(2008年12月6日)

 天井は内側から空気層を2層作り、最後に仕上げ材を貼ります。

2008.12.06_DSC08453.jpg天井の内側から1層目の空気層を施工2008.12.09_DSC08459.jpgその内側に2層目を作り天井仕上げ材を貼ります2008.12.04_DSC08445.jpg外側に石膏ボードを取付けます

照明・内側の仕上げ(2008年12月9日)

 照明は配線ダクトと蛍光灯の2系統としました
 内側にも石膏ボードを貼り付けます

2008.12.09_DSC08462.jpg天井の照明設置状況です2008.12.09_DSC08464-2.jpg内側も石膏ボードを貼ります

コンピュータ用ラックの製作(2008年12月10日)

 室内は狭いので騒音・熱を発するコンピュータは室外に設置します。
 その為のラックをコンパネで作ります。
 上下2段で2台のコンピュータとハーフラックサイズのVTRなどが設置できる大きさです。
 配線は事前に壁に穴を空け、遮音シートにはスリットを切りケーブルが通るようにしてあります。

2008.12.09_DSC08468.jpg厚さ12ミリのコンパネでラックを組立ます。(Mac G5が入る大きさです)2008.12.11_DSC08491.jpg内側を黒く塗り、パンチカーペットを貼ります2008.12.10_DSC08470.jpgこんな感じに設置します

クロス貼り~完成(2008年12月12日)

 最終仕上げにクロスを貼ります

2008.12.12_DSC08493.jpgクロスはコーナン製で初めてでも綺麗に貼れました2008.12.12_DSC08509.jpg内側の壁面の一部には音の反射を減らすため暗幕を吊りましたIMG_4215.jpg完成しました

完成状況

約1ヶ月をかけて製作した防音室が完成しました。


IMG_4252.jpgとりあえず機材を入れてたまった仕事を再開
仮に機材を入れてたまった仕事を片付けます。
この状態でしばらく使ってみて、次の改造
行うつもりです。

2008.08.22_IMG_2711.jpg元は6畳の和室でした
IMG_4263.jpg6畳のスペースに内部空間が3畳ほどの防音室が完成

防音室の効果

  実際の防音効果ですが、防音室内部とドアの外側とで会話をする事は可能です。
 しかし、音のレベルはかなり抑えられているので、防音室を設置した部屋の外に出ると
 会話はかなり大きな声でないと出来ません。距離が離れると効果はかなり大きくなります。
 深夜に防音室内でロックのミックスダウン作業をしていても、家の外に出ると立ち止まって
 耳をすましてもほとんど聞こえません。

  家の外の道路をトラックが通ると低域の音はスタジオ内で聞こえますが、スタジオ内の
 スピーカーから出る低域の音や振動は2階の部屋にも、家の外でも気になりません。

 結果的には予想以上の防音効果がありました。

  この事から当初ギターの収録はアンプシュミレーターのみで行うつもりでしたが、
 遮音性が良かったのでアンプでスピーカーを鳴らして収録出来るように改造しました。(その2に続きます)


費用に関しては
  リフォーム業者さんからの請求が5万円程(外枠の柱と石膏ボード、フローリングの材料費のみ)
  遮音シートが約7万円
  ドア(2枚分)が約4万円
  その他の材料費が約19万円
 合計 約35万円でした。(材料費のみで人件費は含みません。)

 メーカー品で2畳以上の大きさなら80万円以上するので、費用的にはかなり抑える事が出来ます。

 やる気と時間がある方は、自作防音室の製作にチャレンジしてみてください。
 (全て自己責任と言う事でお願いします。)